ゴッホの手紙(16)
小林秀雄のゴッホ論の核心 今回は、シリーズの最終回です。精神疾患に対するゴッホの姿勢は、絵画の技法上の発展につながりました。その試みは、「近代」を超克して、人間と自然との一体化を模索するものでした。 ゴッホによれば、…
小林秀雄のゴッホ論の核心 今回は、シリーズの最終回です。精神疾患に対するゴッホの姿勢は、絵画の技法上の発展につながりました。その試みは、「近代」を超克して、人間と自然との一体化を模索するものでした。 ゴッホによれば、…
「人間性」の問題 前回は、ゴッホの絵画の技術を検討しました。ゴッホが悩んでいたこととは、自然と感情、線と色の衝突という問題でした。小林秀雄によれば、絵を描く時のゴッホの態度は、精神疾患に対するゴッホの態度に基づいていま…
デッサンと色彩の格闘 今回は、ゴッホの絵画の技術論の本質を抽出するべく、小林秀雄の議論を考察します。 小林は言う。「絵画は目的ではない、手段に過ぎないと、熱狂の合い間に、何者かが彼に囁く。では何の為の手段か。不思議な…
自然と交渉する 前回は、小林秀雄のゴッホ論の中核が「無私」(意識)にあることを確認した上で、ゴッホが「狂気」を「あるがままに受け入れる」ように努めていたことを証明しました。その論理とは、先に「自分の内」を視て、その次に…
「あるがままに受け取らねばならぬ」 今回は、前回の「無私」に関する考察に基づいて、精神疾患に対するゴッホの態度について再検討します。その理由は、精神疾患に対する態度が、実は、作品を制作する態度に活かされていたからなので…
「愛」と「理想」 今回も、前回に引き続いて、小林秀雄のゴッホ論の中核に位置する「意識」について、さらに掘り下げて検討していきます。小林の論理は、「狂気」を「創造性」にまで高めるという流れが基調でしたが、「創造性」が「狂…
論理の混在 今回からは、小林秀雄の議論に対する批判を整理した上で、「意識」の問題について深く掘り下げて検討していきます。はじめに、改めて確認しておくと、以下の小林の議論には、“矛盾した論理”が含まれています。 「絵は…
仕事の意義 筆者(中西)が着目するのは、絵がゴッホに絶望感を与えていたという「逆の因果関係」が、ゴッホの手紙から読み取れるということです。今回は、本来、「狂気」を「創造性」に高めてくれるはずの「意識」が、反対に、「創造…
ゴッホの「絶望」と「真実」 今回からは、前回説明した筆者の仮説を証明するべく、小林秀雄の論理を批判的に検討していきます。前回論じたように、ゴッホは次のように問いかけて、「絶望」を「真実」に変えました。すなわち、自分は何…
「逆の因果関係」について 本シリーズの狙いは、小林秀雄の“構図”を抽出して、その“構図”を批判的に検討することです。すでに検討したように、小林の“構図”とは、ゴッホの精神疾患と創造性との関係にありました。ただ、小林の議…