はじめまして。中西哲也と申します。
『先導者たち』というブログサイトで、記事を掲載させていただいていますが、このたび、自分独自のサイトを立ち上げてみようと考えました。はじめに、このサイトを始めようと思い立った動機やサイトの目的、そして方向性についてお話ししたいと思います。
まず、筆者のプロフィールについては、『先導者たち』で確認していただければ幸いですが、簡潔に言えば、学問的探究を続けてきました。国際政治における現象に関心を持って、考察を深めてきました。ところが、「統合失調症」を罹患して強制入院を経験したことによって、何が変わったかというと、自分の内面から「問い」が湧き上がってきたということです。
なぜ精神疾患を罹患してしまったのか、またその治療法は何かについて考えようとしたことが、『先導者たち』で記事を書き始めたきっかけでした。そして、同サイトでは、自分の内面を見つめることが創造性の源泉になりえるという「仮説」を検証しています。検証方法としては、学術的な研究をしてこられた研究者や評論家の論考を取り上げて、“核心的論理”を抽出した上で、批判的に検討しています。
ただ、『先導者たち』は有料サイトのため、正直、初回の「無料公開記事」以外はご覧になっていない方もおられると思います。そのため、自分の内面を見つめるという同ブログの趣旨を踏襲する一方で、新たにサイトを始める根本的な動機は、別の「問い」と「仮説」を設定して、自分の考えを発信することにあります。
詳しくは個別の記事で説明しますが、このサイトの狙いは、「絶望が持つ意味とは何か」について、主に文学作品や文芸評論を題材として考察することにあります。ここで「文学」というのは、すべての優れた書物という意味の、広義の「文学」ではなく、小説や劇や詩など、多くの人が思い浮かべる、狭義の「文学」です。
ちなみに、すでに科学的研究において、「絶望が持つ意味とは何か」についての考察が進んでいます。ある心理学者は、次のように述べています。すなわち、「不運な出来事はわたしたちに、自分の信念と人生の目標について見直しを強います。それこそが、トラウマの持つ力であり、可能性なのです」(スコット・バリー・カウフマン&キャロリン・グレゴワール『FUTURE INTELLIGENCE――これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』大和書房、2018年、201頁)。
要するに、クリエイティブな人々は、苦しみの中に意味を見い出そうとして創造的な作品を生み出すという意味において、「逆境を経験することと創造性との間には、相関関係が見られる」のです(同上、205-206頁)。
いずれにしても、筆者としましては、どちらのブログも個人的な問題関心から始めているものですが、個人的な課題探求が、読者の皆様にとっても、新たな発見や悩みの解消につながることを心がけております。