モラル

一切収益が発生しないブログなので、好き勝手に書いているが、他人の名誉を毀損するようなことは、やめているつもりである。 ただ、偶然私と同じ経験をしていた太宰治を発見して、彼の苦悩をなぞっているだけである。 太宰のことは分か…

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文学史には詳しくない。しかし、太宰治は、古典をひもとき、物語を創作したし、小林秀雄も、西洋文明に出会った日本を論じた。 日本人として生まれた以上、おのれを振り返りながら、日本とは何かについて考えたい。その1つの方法として…

千葉一幹「人間失格と人間宣言」

 今回は、千葉一幹「人間失格と人間宣言―太宰治と天皇」(『文學界』文藝春秋、2022年7月号)を取り上げます。管見の限り、千葉の論考の核心とは、戦後の太宰作品が、彼の「罪の意識」に従って、暗に天皇を批判していたというもの…

村瀬学『「人間失格」の発見』

 今回は、村瀬学『「人間失格」の発見―倫理と論理のはざまから』(大和書房、1988年)を取り上げます。同書の意義は、なによりも、『人間失格』を丁寧に読解しようとした点にあります。その理由は、三谷憲正と同様に、作品理解と主…

奥野とキーンの対談(2)

 今回は、前回に続いて、奥野とキーンの対談を取り上げます。その論点は、①作者と作品の関係と、②太宰治と三島由紀夫についてです。  まず、キーンによれば、太宰の作品は、彼の実生活と関連づけて論じられてきました。しかし、表現…

奥野とキーンの対談(1)

 今回と次回は、太宰治について考える上で、奥野健男とキーンの対談を取り上げます(「対談 奥野健男×ドナルド・キーン 擬装の対極――太宰治と三島由紀夫」『文藝別冊 KAWADE ムック 永遠の太宰治』河出書房新社、2019…