銭ゲバ・BBA

ふと思い出したことがあったのだが、もしかするとなかったかもしれないような気がしてきている程度の話だ。母の仕事を手伝っていて、指導の振替を要求してきたお母さんがいらっしゃった。

月に指導回数が決まっている場合であれば、その要求はもっともなお話しなのだが、我々は、指導曜日を固定している。そのため、週の回数は選択制だが、月ごとや生徒ごとで、指導回数も変わってくることになる。ただ、指導回数であまりにも不公平になるといけないので、いろいろ配慮はしている。詳細は省くが。

問題は、その方が、たいした用事もなく、某ラーメンとチャーハンがうまい店に、そろばんの練習時間帯に行っていたことだ。大丈夫や、後で振替伝えてあげるから、と子どもに言っていたらしい。

ちなみに、細かい話をすると、自称「表現者」の私とは違って、真面目な「教育者」の母の方針で、練習熱心な生徒向けに、月謝額的にお得な制度を設けていた。そのお得な制度では、私が計算してみたところ、1回の指導が、なんと100円程度になるという、訳の分からないものであった。

私などは、そもそも外で業務委託で働いた方が、よっぽど儲かる話なので、そろばんなんか辞めちまえよと、母に進言したことがあるくらいだった。そんな私が母を補助する理由は、ただ母を助けたいだけなのと、外では怠けるので一生懸命働く練習をしているだけだ。自虐的に言えば、「社会復帰」とか、「職業訓練」の類だ。

さて、話は戻るが、そのお得な制度を利用されておられる「お客様」には、振替をお断りした。正当な理由がなければ、振替はできません、そもそもお得な制度を設けているのは、熱心な生徒に進級してもらいたいからなのであって、母の「好意」もお考えください、と。

そうすると、100円をバカにするんですか、という返事がかえってきた。100円さえも無駄にすまいとする、見上げた主婦魂。儲からない仕事だと考えている私と、銭ゲバ・BBAとの「銭闘」の火ぶたが切って落とされた。

 このサイトでは、小説や文芸評論を取り上げながら、どうすれば「絶望」から「真実」をつかむことができるのかについて検討していきます。なお、『先導者たち』というブロマガサイトでも、筆者自身の闘病体験を踏まえて、文筆活動を行っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA