小林秀雄や太宰治について調べていると、想像していた以上に、生活に密着していたというか、生活に苦しんでいたことが分かった。
他人の私生活について、こと細かに書くのはやめておくが、お金や女性との関係など、普通の人と変わらない経験だったように思えてくる。
太宰の妻が夫について、「原稿職人」と呼んでいたように記憶しているが、文章を書いて生活するというのは、並大抵のことではないようだ。
太宰など、他者が自分に送ってきた手紙をほとんどそのまま、作品に載せたこともあるようだ。
小林もまた、彼自身が、「文芸評論」なんかをやって、金をもらい、文学を分かった気になっていたと、歳を重ねてから反省していた。
職人が芸術家に、一直線につながるような道は、ないようだ。